お位牌とは⑦ 彫刻・戒名名入れの加工について

通常のお位牌は、
1・職人による手書き 
2・針彫り機械による彫刻
3・レーザー彫刻機による彫刻
この3つに分けられます。

職人による手書きは、漆と筆で直に戒名を書いていき金粉を蒔きます。(蒔絵の技法です)
この場合、職人の文字の癖が出てしまいます。

レーザー彫刻機が普及する以前は、この針彫り機械で彫刻するのが一般的でした。
直径約3mmくらいの金属製の針を、高速回転させて彫刻します。
この場合、文字はV型に彫れます。

レーザー彫刻機は一定の深さで彫刻するので、楷書などの太い文字を彫ることが可能で、
彫刻面に金箔を施した際、金箔の輝きが保たれます。

大抵は彫刻した戒名に、水彩画の金色を入れます。
どこにでもある、ぺんてるやサクラの絵の具です。
もちろん水彩画の絵の具ですので、濡れた布巾で拭くと簡単に落ちます。
あるいはLG紛とよばれる工業用の金を入れる場合もあります。

針彫り機械で彫刻した戒名に金箔を施している業者様もいらっしゃいますが、
彫刻面がV字になるので、金箔の良さが出てきません。

※左が針彫り絵の具。右が沈金です。文字の太さが違います。

※絵の具が落ちる実験です。お位牌に水を垂らし、一時間後の動画です。

レーザー彫刻機で彫刻した場合、彫り面の深さが一定の上、平面になるので、金箔を貼るのが難しくなります。
独自の沈金・篆刻加工が自慢の木彩屋では、レーザー彫刻、沈金のお位牌の制作を始めて20年近くになります。
様々な経験を重ね、美しいお位牌の制作に取り組んでまいりました。

木彩屋では、お位牌を重要視しています。
それはお位牌が故人そのものだからです。
大切な個人のお位牌を、絵の具の文字で長年お祀りするのは忍びない。
お位牌に『高級』『最高級』というランクがあるならば、文字の加工もそれに合わせた加工で。
お位牌と文字の本金箔加工を以って、『最高級』と考えております。

亡くなった故人への想い。
こだわりのお位牌や、想いのこもったお位牌で是非お祀りしてみてはいかがでしょうか?